愛の伝説@マリインスキー劇場

ロシアバレエファンのみなさん、こんにちは!
だいぶ更新が滞ってしまい、長らくお待たせしたかと思いますが?笑
今回はつい先日鑑賞したマリインスキー劇場の「愛の伝説」を取り上げたいと思います。
念願の作品を黄金キャストで見ることができたので、かなり暑苦しく、かつ長文になっていることをご容赦ください^^;

【鑑賞作品情報】 ※劇場英語版サイトからも情報をご覧いただけます。
●作品:愛の伝説
●鑑賞日:2018年2月16日
●主なキャスト:
・シリン:エカテリーナ・オスモルキナ(Yekaterina Osmolkina
・フェルハド:ウラジーミル・シクリャローフ(Vladimir Shklyarov
・メフメネ・バヌー:ナターリヤ・オシポワ(英国ロイヤルバレエ団よりゲスト出演)(Natalia Osipova
・廷臣:コンスタンチン・ズヴェレフ(Konstantin Zverev
●原作:ナーズム・ヒクメット
●音楽:アリフ・メリコフ
●振付:ユーリー・グリゴローヴィチ
●同劇場初演:1961年3月23日
●あらすじ:
第一幕:
<第1場>メフメネ・バヌー女王の妹シリン王女は不治の病で瀕死の状態。宮殿中が悲しみに沈む中、突然見知らぬ男が現れ、バヌーの美貌と引き換えにシリンを救うと提案する。バヌーはその提案を受け入れ、男はシリンの病を治し、シリンは回復することができたが、バヌーは醜い顔に変貌してしまう。
<第 2 場>宮殿の庭園でバヌーとシリンは若い宮廷画家のフェルハドに出会い、姉妹ともに彼に惹かれる。次第にフェルハドはシリンに惹かれ、二人は恋に落ちる。
第二幕:
<第1場>民衆は涸れてしまった泉を取り囲みただただ絶望している。水は全て宮殿に送られるため、水を得るには、山を切り開き水路を造らねばならない。
<第 2 場>フェルハドへの恋に苦しむバヌーのために、宮殿の人々は彼女を元気づけようとするが、全く効き目はない。バヌーは醜い姿の自分をフェルハドが愛すことなどあり得ないと思い、自分の行動をひたすら悔む。
<第 3 場>幸せに浸るフェルハドとシリン。その一方で、彼を失うかもしれない不安感からシリンはフェルハドと宮殿を去ることを決意する。シリンが姿を消したことを知り、バヌーは激怒し追っ手を送る。程なくして2人は連れ戻される。シリンはフェルハドと別れさせないでほしいと姉に懇願するが、バヌーは怒り狂い、フェルハドに山を切り開き水路を造るよう命じ、その水路が完成しない限り、二人の結婚は許さないと言い放つ。
第三幕:
<第 1 場>フェルハドはたった1人で山にこもり、シリンを想いながらただひたすら水路造りに明け暮れる。
<第 2 場>バヌーは美貌を取り戻してフェルハドに愛される夢を見るが、その夢を中断するかの如くシリンが現れ、フェルハドを許してほしいと嘆願する。
<第 3 場>バヌーとシリンはフェルハドのいる山へ赴く。バヌーは、フェルハドに水路の完成を放棄してシリンと山を下りると約束すれば彼女と二度と別れさせないと提案する。
しかし、フェルハドは水路の完成を心待ちにしている民衆を裏切ることができず、シリンとの別れを選択し、人々のために山にとどまることを決意する。

【感想】
●作品:若き日のグリゴローヴィチが手掛け、彼を名実ともにスターダムにのし上げ(というか時すでにのし上がっていたが(笑))、またソヴィエトバレエの発展に大きく貢献した傑作。ロシアに来たら是非一度は目に焼き付けておきたい作品の一つ。2015年のマリインスキーバレエ団来日公演の際にも上演された作品で日本のマリインスキーファンにも記憶に新しいかと思います。
トルコ出身の詩人ナーズム・ヒクメットの戯曲を題材にした本作は、舞台装置はシンプルながら、アラビア文字が印字されている本をイメージした装置で、ページをめくる度に場面が転換し、物語が進むという仕掛け。登場人物たちの独特な腕の動きなど振付に終始漂うペルシャ的異国情緒感を味わえる。何と言っても、本作の最大の特徴はクラシックバレエをベースにしながらも、本来のマイムを取っ払い、とにかく身体全体を使った動き(踊り)によって登場人物の感情を表すというこの時代において斬新な試みがなされたことに注目したい。
余談ですが、現在、オリンピックシーズンでフィギュアスケートを見過ぎているせいか、フィギュアのペアを見ているようなアクロバット的な要素を感じる踊りがたくさん見受けられました。単にフィギュアの見過ぎなのか?笑
※マイム:パントマイムと同義。台詞の代わりに身振り手振りで感情を伝えること。

●見所シーン: 
その①:1・2幕目のフェルハドの登場シーン。圧巻の跳躍、一歩間違えれば大けがになりかねない難関の振付。開いた口がふさがらないとはまさにこのこと。ブラボーとしか言いようがない。
その②:2幕目のバヌーを慰める宮殿のシーン。この宮殿での兵士たちの隊列をなして行進する様を模した振付が、作品の大半を占める異国情緒的な振付とは対極的で、この作品のアクセントになっていると感じました。
その③:3幕目、フェルハドへの愛に苦しみむバヌーと共に、その苦しみを模した群舞が一緒に踊るシーン。彼女の苦しみを彼女と共に群舞が表現することにより、バヌーの苦しみの深さが全面に伝わる演出に脱帽です。

●ダンサー:オシポワの記念すべきメフメヌ・バヌー役初演!
・オシポワ:かつて彼女がボリショイバレエ団に所属し、まだ駆け出しだった頃、日本公演で彼女のドンキ・ホーテ(キトリ役)を見て以来。正直、彼女にはあまりバヌー役のイメージがなかったのですが、まさかこの日が初演だったとは!そんな記念すべき日に立ち会えたことに感激です。かつてのチャーミングなキトリ役とは打って変わって、ダンサーとして成熟したオシポワの魅力が存分に詰まったメフメヌ・バヌーを演じていました。何と言っても彼女お得意の豪快かつダイナミックな身体表現がまさにバヌーの感情を全面に押し出し、バヌーの苦悩を丁寧に描いていました。
・シクリャローフ:まさにフェルハドの中のフェルハド、これぞ本家フェルハドでした(笑)何と言っても非常に高難度の跳躍をポンポンこなしてしまうシクリャローフ、さすがです。
・オスモルキナ:様々な役を演じている彼女を見る中で毎回共通して感じるのは、彼女の役に入り込む力には本当に目を見張るものがあります。もはやどんな役でも演じられる演技力・表現力があるダンサーではないかと思います。

●本日の注目ダンサー:コンスタンチン・ズヴェレフ
ここでわざわざ注目ダンサーにあげるレベルをはるかに超えているダンサーなのですが、筆者のマリインスキー一押しダンサーなので、どうぞ皆さまお付き合いください(笑)
お恥ずかしながら2015年の来日公演まで完全ノーマークだったズヴェレフ。彼の凄さを認識したのは来日公演で踊った「白鳥の湖」のロットバルト役でした。ほぼロパートキナ目当てに行った公演でとんでもないロットバルトを目の当たりにし、すっかりズヴェレフの虜に(笑)
そして、本作でも彼は存分に爪跡を残していきました。特に2幕目のオシポワとのシーンは圧巻でした。彼は長身で体格がしっかりしていることからリフトが非常に安定しています。だからと言ってただ図体がデカイわけではなく、非常に繊細かつしなやかな動きの持ち主で、テクニック・表現力ともにマリインスキーのファーストソリストの中で頭一つ、いや二つ?、ずば抜けた才能を持っています。
もちろん今回は英国ロイヤルバレエから遥々来てくれたオシポワを観るためにチケットを購入しましたが、ズヴェレフが出るからというのが最後の決め手でした。それぐらい彼のパートナーへのサポート力は非常に安定感があると感じています。今後も彼の活躍に要注目です!

鑑賞から数日経った今でも興奮冷めやらず、まだまだ書きたいことはたくさんありますが、さすがに長すぎるので今回はこの辺にしておきます(笑)

【本日の写真】カーテンコール
※この他の写真はEliska’s Instagramに載せます。

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