ストラヴィンスキー作品集その②@マリインスキー劇場

それでは前の記事から引き続きストラヴィンスキー作品集その②をお送りします!

【鑑賞作品情報】 ※劇場英語版サイトからも情報をご覧いただけます。
●作品:ストラヴィンスキーのバレエ作品集(結婚、ペトルーシュカ、春の祭典)
●鑑賞日:2018年2月18日

≪第二幕:ペトルーシュカ≫
●主なキャスト:
・ペトルーシュカ:アレクサンドル・セルゲーエフ(Alexander Sergeev
・バレリーナ:ヤーナ・セリーナ(Yana Selina
・ムーア人:イスロム・バイムラードフ(Islom Baimuradov
●音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
●振付:ミハイル・フォーキン
●同劇場初演:2010年2月6日
●あらすじ:舞台はサンクトペテルブルク、街は謝肉祭の真っただ中。海軍広場に人形遣いの魔術師が現れ、3体の人形に命を吹き込むことから物語は始まる。命の宿ったその3体の人形は、バレリーナに恋心を寄せるペトルーシュカ、そんな彼をよそに着実に愛を育むバレリーナとムーア人。ペトルーシュカは激しい悲しみと嫉妬に苛まれ、ついにムーア人を襲撃、しかし、逆襲にあい、民衆の集まる広場で殺されてしまう。民衆は街で殺人事件が起きた!と大騒ぎになり、警察が出てくる始末。魔術師はペトルーシュカが単なる人形であることを警官に告げ、街には再び平静が訪れる。しかし、街が静まり返った夜、ペトルーシュカが亡霊となって現れ、魔術師への怒りを露わにする。それを見た魔術師は恐れをなしてその場を逃げ去り、閉幕。

●感想:
①作品:同作品の初演はバレエ・リュスにより1911年にパリにて上演され、一大センセーショナルを巻き起こす。ロシアの愉快な謝肉祭の話かと思ったら大間違い。人形を題材にしながらも、恋・嫉妬・憎しみ・悲しみ・怒り等の人間的感情を人形らしいぎこちない動きの中で存分に表現し、また、ストラヴィンスキーの音楽が各場面の世界観を更に広げる。最終的に「悲しい人形のお話でした」で終わらせるのではなく、人形にだって魂があり、亡霊となったペトルーシュカを登場させることによって魂の叫びを体現し、観客へメッセージ性を残してエンディングを迎えるという、20世紀初頭において斬新かつ画期的な作品であったと言える。

もちろん、民衆たちの踊りや街の活気からロシアという国の謝肉祭の楽し気な雰囲気は存分に伝わり、バレエリュスが大事にしていたロシア色を全面に出した作品でもある。

②見所シーン:見所は各三体の人形の特性を生かした振付。何だか自身がなく頼りない、でもどこか憎めないペトルーシュカ。完全に人形的ぎこちない動き、ただそれが少し冷淡さを表しているバレリーナ、チャラチャラしていそうだが男らしく頼りがいがあるムーア人。特にムーア人の部屋の場面で、ブレイクダンス的な要素を含んだムーア人のダイナミックな踊りはムーア人の身体能力の高さ=男らしさの象徴を表しているようであった。
そして、何度観ても悲しくなりますが・・・。何といってもクライマックスの亡霊となって現れたペトルーシュカの悲しみを含んだ憎悪感を全身全霊でくみ取ってあげましょう(笑)
なお、当時バレエ・リュスで活躍していた芸術家の一人にアレクサンドル・ベヌアという画家がいますが、本作品の舞台装置・衣装はベヌアによって手掛けられています。彼の描いた世界観も存分に目に焼き付けたいものです。

③ダンサー:アレクサンドル・セルゲーエフ
この日の作品の完成度に大きく貢献したダンサーとしてセルゲーエフを見過ごすことはできません!個人的にマリインスキーのペトルーシュカを観るのは今回で2回目でしたが、より大きな満足度が得られたのは今回の作品は彼の功績によるものだと声を大にして言いたい!(笑)
セルゲーエフのペトルーシュカはまさにイメージしていたペトルーシュカ像そのものでした。彼の踊りからはペトルーシュカの頼りなさ、不甲斐なさ、心の弱さ、葛藤、苦しみ、悲しみ、すべてが痛いほど伝わり、心の底からペトルーシュカが置かれた境遇に同情してしまいました。そこまで作品の世界に引き込ませてくれたセルゲーエフに感謝したい(笑)、それぐらい彼のペトルーシュカは素晴らしかったです。

④余談:ムーア人の踊りについて
上記にも記載した通りムーア人の振付はかなりアクロバティックな動きが多く、そう言ったセンスがダンサーには求められます。そう言った点を鑑みると、前回観た際にムーア人を踊っていたユーリー・スメカロフ(Yuri Smekalov)は抜群のセンスの持ち主であったことを実感させられました。彼の絶妙なアクロバティックなバレエ&ドラマチックな表現はさすがエイフマン出身なだけあるな~と思いました。エイフマンとは奇才ボリス・エイフマン率いるエイフマンバレエ団のことで、スメカロフは元々ここ出身です。その後、マリインスキーに入団し、現在はセカンドソリスト兼振付家として活躍しています。彼が振付したものはもはや紹介できない程の量で、その他にもフィギュアスケートの振付をするなど、多方面で活躍しています。
※注:だいぶ熱く語っていますが、今回、スメカロフは出演していません(笑)

それでは、その③の投稿についてはしばしお待ちください!

【本作の写真】カーテンコール
※この他の写真はEliska’s Instagramに載せています。

IMG_5407

投稿者: eliskarussianballet

ロシアバレエファンによるサンクトペテルブルクの劇場鑑賞をまとめたブログです。ロシアバレエファンのみならず多くのバレエファン、バレエファンじゃない人も巻き込んだ楽しいブログにできたらと思います!どうぞ気軽に遊びに来てください。

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